相続に関する専門用語集

相続 そうぞく

亡くなった人の財産とそれに伴ういっさいの権利や義務を、亡くなった人と一定の親族関係にある人(相続人)が引き継ぐことです。

ただし、亡くなった人が持っているモノでも、その人の専属のモノは引き継ぐことができません。たとえば、運転免許証や資格などがそれにあたります。

相続人 そうぞくにん

亡くなった人と血縁関係にあり、その人の財産を引き継ぐ権利を持つ人のことです。

この権利を持つ人は、法律で決められており、これを法定相続人と呼びます。

法定相続人には第1位から第3位まで順位がつけられており、順位の若い人が先に死亡したり、相続権を放棄した場合に、次の順位の人に相続権が移ります。

故人の配偶者は必ず相続人になります。そして、配偶者と共に相続人となるのが第1順位として故人の子、第2順位として故人の両親、第3順位として故人の兄弟姉妹となります。

相続財産 そうぞくざいさん

広い意味でいうと、亡くなった人が持っていたもの(免許や資格などを除いて)は、すべて相続財産です。

相続財産には、プラスの財産(現金、預貯金、不動産など)とマイナスの財産(借金、滞納した税金、保証債務など)とがあります。

法定相続分 ほうていそうぞくぶん

法律で決められた相続人の取り分のことです。
相続人が誰になるかで取り分は変わってきます。

故人が財産の分け方を指定していないときには、法定相続分を参考に相続人どうしで話し合って取り分を決めます。

遺言 ゆいごん
(いごん)

自分の死後、自分の財産の処分方法について、自分の意思や希望を書き残しておくことです。

遺言には決められた形式があり、せっかく書き残しても形式を守っていなければ遺言として認められません。

形式が守られた「遺言」は法律で保護されるため、相続人は、遺言の内容に従わなければなりません。

遺言者 ゆいごんしゃ 遺言を残したい人、あるいは遺言を残して亡くなった人のことです。
公正証書遺言 こうせいしょうしょゆいごん

遺言で残したい内容を口頭で伝え、公証人が書き取って作る遺言書のことです。

公証人が書き取った遺言の内容に間違いがないか証明してくれる証人を2人以上立ち会わせる必要があります。

遺言は公証役場で1通保管するので、なくしたり、自分以外の人によって偽造されたりする心配がありません。

ただし、作成に手間と費用がかかりますし、証人や公証人とはいえ、遺言の内容を自分以外の人に知られることになります。

自筆証書遺言 じひつしょうしょゆいごん

遺言を残したい人が、遺言の内容、日付、氏名をすべて自分で書き、押印するだけで作成できる遺言書です。(※1)

また自筆証書遺言は、発見されたあと、家庭裁判所で開封と形式の確認(検認)をすることが決められています。(※2)

  1. 財産目録を添付する場合、平成31年1月13日以降に作成されたものは自書によらない財産目録でも認められています。
  2. 法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用されている場合は、検認不要です。
検認 けんにん

遺言書の形式やその他の状態を家庭裁判所に調査確認してもらい、証拠保全をしてもらうことです。

遺言書を発見した人は、すみやかに家庭裁判所に遺言の検認を請求しなければいけません。

  • 公正証書遺言の場合または法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用されている場合は、検認不要です。
遺言執行者 ゆいごんしっこうしゃ 遺言の内容を実現するために、遺言を残した人(遺言者)に指定されたり、家庭裁判所によって選任されたりした人のことです。
人数は、一人でも数人でもかまいません。
遺産分割 いさんぶんかつ

亡くなった人が残した財産(遺産)を相続人で分けることです。

借金やローンなども遺産分割の対象となります。

遺産分割協議 いさんぶんかつきょうぎ 亡くなった人が残した財産について、「だれが・何を・どれだけ」引き継ぐかを相続人同士で話し合うことです。
亡くなった人が財産の分け方や処分の方法を遺言書で残した場合には、遺言に従うことになるので遺産分割協議は必要なくなります。
(ただし、遺言書があっても相続人全員が内容を変更することに賛成したときは、遺言書の内容と違った遺産分割協議をすることも可能です。)
遺産分割協議書 いさんぶんかつきょうぎしょ 亡くなった人が残した財産について、「だれが・何を・どれだけ」引き継ぐかを相続人同士で話し合って決まると、証拠として書類を作ります。これを遺産分割協議書といいます。
通常、相続人全員が署名と実印の押印をします。遺産分割協議書が完成すると、相続人全員の了解がない限り、やり直すことができません。
配偶者 はいぐうしゃ 婚姻届を出している夫婦の一方のことです。
配偶者は、常に一方が亡くなったときの相続人になります。
直系血族 ちょっけいけつぞく 直系とは、自分を中心に考えたとき、自分の両親、祖父母、自分の子、孫のように世代ごとの縦のつながりをいいます。
自分の兄弟姉妹や親の兄弟姉妹は直系ではありません。(傍系といいます)
血族とは、自分と血のつながりがある者、あるいは、養子縁組によってつながりを持った者のことをいいます。
よって、直系血族とは、祖父母・両親・子・孫というように、自分を中心として縦のつながりを持つ家族のことをいいます。
直系卑属 ちょっけいひぞく 卑属とは、自分より世代が下の人のことをいいます。
(逆に自分より世代が上の人のことを尊属といいます。)
つまり、直系卑属とは、自分の子、孫、曾孫、玄孫・・・となります。
代襲相続 だいしゅうそうぞく 相続人が故人より先に亡くなっていたり、その他の理由で財産を引き継ぐことができない場合に、その人の子や孫がその人の代わりに相続人になることです。
代襲相続人になれるのは、故人の孫、曾孫、玄孫(故人の孫であればどこまでも続きます。)、そして、故人の甥・姪となります。
戸籍謄本
(全部事項証明書)
こせきとうほん 戸籍を構成する人の全員について、氏名・生年月日・家族関係の記録を戸籍謄本といいます。
紙で保存されている記録のすべてを写したものを「謄本」、電子保存された内容すべてをプリントアウトしたものを「全部事項証明書」といいます。
※なお、遠隔地の戸籍謄本(全部事項証明書)は、郵送で請求することができます。詳しくは、対象となる役場の戸籍係や、各役場のホームページでご確認ください。
除籍謄本 じょせきとうほん 戸籍を構成する人が誰もいなくなると、その戸籍は閉鎖されます。これを除籍といい、除籍された戸籍の内容を証明するものを除籍謄本といいます。
改製原戸籍謄本 かいせいげんこせきとうほん
(かいせいはらこせきとうほん)
戸籍の形式や保存方法に関する法律が改正されると、新しく戸籍ができることになります。
法律の改正による変更前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。

本ページは、相続手続に関する用語をできるだけわかりやすく説明することを目的としており、法律上、会計上、税務上の用語としての正確性を保証するものではありません。法律上、会計上、税務上の助言等を必要とされる場合は、それぞれの専門家にご相談ください。
弊行の法律的な見解を示すものではありません。