愛知営業本部 コーポレート営業グループ調査役 辻 和宏 (1997年入行)
チャンスは、いつかやって来る。
コーポレート営業グループが目指すのは愛知県内の新規取引先の開拓だ。通常の法人営業と異なるのは、「十六銀行がぜひ取引してもらいたい企業」への新規先活動に特化していることだ。ターゲットは、いずれも業界の川上に位置する優良企業ばかり。成功すれば、業界全体に十六銀行の存在を示すことにもつながる。十六銀行が目指す愛知県の地元化戦略の最前線に、辻たちのフィールドはある。

キーワードは継続。

「最初に、最前線と書かれてしまうと、何かニュースになるような華やかな話を期待されるかもしれませんが、私たちの仕事はいつも地道なものなんです」と辻。挨拶からはじまり、相手企業が求める情報をどこよりも早く察知し提供する。その繰り返しの中でチャンスが来るのをひたすら待つ。

「お客さまにとって、我々が有益な情報を提供するのは当たり前のこと。それだけではすぐにお取引のチャンスをいただける訳ではありません。チャンスをいただければ思う存分我々の力を発揮して、必ず満足していただけるご提案ができるという自信は常に持っていますが、チャンスをいただけるその時までは、地道な活動をモチベーションを保ちながら継続することを心がけています」と辻は言う。

明るい話し声、豊かな表情、聞く者を引き込む身振り。「楽しい仕事はあっても、楽な仕事はないんですよね」といった諦念の言葉も、彼が話すと、楽観的なユーモアが漂う。

まだ取引のない企業の担当者が、何度も訪問する辻を迎え入れるのは、そんなキャラクターに心を動かされるためなのかもしれない。辻の活動は、小さく柔らかな一滴の水がしたたり続け、やがて大きな岩を溶かしていくのに似ている。その証拠に、彼らのプロジェクトに期限はない。ただ、決してあきらめないという、覚悟があるだけだ。

本当にこれでよかったんですか?

入行から3年を過ぎた頃から、辻は「渉外」と呼ばれる法人営業一筋。新規開拓でも数多くの実績があるが、その基本はやはり、継続なのだと彼は言う。「もちろん、押したり引いたりという駆け引きもありますよ。でも、最後は、我々がどの金融機関よりも一番御社のことを考えているということを、お客さまに分かっていただくことなんです」と辻。

メインバンクを十六銀行に移し替えたある企業のケースも、そうだった。もちろん、提案には自信があった。そのプレゼンテーションに沿って取引が進めば、企業は安定的な成長を遂げられるはずだった。しかし、提案書に「十六銀行をメインバンクに」といった条件があったわけではない。「大口の新規案件でしたし、営業としては嬉しかったんですが、メインバンクを変えるという話は初耳でした。それで、こちらが心配になってしまって、社長に真意を聞きに行きました」と辻は当時を振り返る。

メインバンクを変えるのは企業にとって大きな負担だ。経営者にとっても容易に判断できることではない。「社長、我々は一生懸命やらせていただいたし自信も持っている。けれど、社長のお気持ちとして、本当にこれでよかったんですか? と聞きました。融資のスキームとしては納得していただいていましたが、私としては社長の気持ちを知りたかった」と辻。仕事の中身と同様に、気持ちの上でも経営者と心が通じ合っていたのか? 彼が知りたかったのは、そこだった。返ってきた経営者の言葉は、こうだった。「今までのメインバンクの対応には、どこか引っかかるところがあった。これで、すっきりした。思いっきり本業に専念できるよ!」

ただ、融資を提案し実行すれば皆がハッピーになるわけではない。「どこよりも御社のことを考えた」辻の提案と行動は、経営者の大きな決断を促すきっかけにもなる。「法人営業の面白さは、そんなところにもあるんですよね」と笑って、辻は次の営業先に向かう。雨が降り出していた。「楽な仕事はないですね…」とクルマの窓から手を振った。
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