海外サポート部 海外営業グループ 田代 誠(2010年入行)
To be continued.
日本にいると普通のことのように思われるが、企業の海外進出は決して容易ではない。例えば、現地法人を設立するための法的な手続きや資金調達、人材の確保など、いずれも高度な専門性やノウハウが求められる作業で、その煩雑さに圧倒されるお客さまも多い。また、そうしたハードルを越えた後も、言葉や文化の違いに悩む経営者も少なくない。これらのニーズに国内外を問わず現場で応えるのが、田代たち海外営業グループのミッションだ。

異国で実感した、お客さまとの距離の近さ。

田代が、提携金融機関であるバンコクのカシコン銀行にトレーニー(研修生)として派遣されたのは2015年10月。まずは、アジアならではのビジネス慣習の洗礼を受けることになる。「メールを送っても返ってこない。心配になって電話をしても出てくれない。これにはストレスがたまりましたね」と田代は笑うが、そんな現地のスタイルに慣れるのに2ヶ月はかかったと言う。

カシコン銀行主催のビジネスマッチング商談会にて。
タイ語を覚え、コミュニケーションの機会を増やしながら、ようやく相手とのリレーションが出来てくると、当初の不安は消えた。「メールを送信してから中1日空けたくらいで返事が来るとわかれば、それなりの準備ができます。あの日本人からの電話だとわかるようになると着信を無視されることもないんですね」と田代。そんな風に、彼は異国で仕事することの不安やハードルを身を以て理解していく。それはまた、当地で事業展開するお客さまが日常的に抱く不安でもあった。話せばわかる日本人同士とは異なり、言葉の通じない外国人労働者とのリレーションには各社が苦労している。そのため、日本語が出来る人材へのニーズは高い。そうした現状が実感としてわかるようになると田代は新たな行動をはじめた。

当地の職業訓練所で、日本語教育をした後に数ヶ月間日本で研修を受けさせタイへ戻すというプログラムがあることを耳にした彼は、直接研修所を訪問する。彼自身が自分の目で研修内容を見て有効性を確認したかったからだ。「やはり、情報を“知っている”だけでは不十分だと思ったんです。それが本当に有益なプログラムかどうか、お客さまの立場に立って評価することが大切だと考えました。つまり、その頃の私は、お客さまのニーズを文字どおり共有していたんだと思いますね」と田代は当時を振り返る。

情報を提供したお客さまにはもちろん喜んでいただけたが、それが十六銀行の利益を生み出す訳ではない。そもそも、トレーニー(研修生)という立場は営業活動を禁じられているのだ。けれど「自分の行動が、お客さまとの距離を一気に縮めたという実感は強い」と田代は言う。それは、ある種の連帯感と呼べるかもしれない。困難な課題に共に立ち向かい解決しようとする者たちの間に生まれる独特の感情と言えばいいだろうか。田代は、かつてないほどにお客さまとの一体感を感じていた。銀行員として、いや、ひとりの人間として嬉しかった。

そして、新たな物語へ。

お客さまのなかにはタイへの出張の度に、駐在員事務所に連絡をくださる経営者がいる。お迎えする側としては最新の現地情報などを準備して臨むのだが、ただ食事を共にするだけという場合も多い。それでも、田代はやはり「感動する」と言う。「数多くの金融機関がタイに進出している中で私たちを選んで声をかけていただける。それだけでも嬉しいことですが、その背後に経営者の方々と駐在員事務所の先輩たちが築いてきた絆の深さを考えると…」。かつて、彼と同じようにお客さまの夢や課題を共有し、お客さまと共に汗を流した先輩たちがいて、古くからの友人のように昔話をしてくれる経営者がいる。お客さまと十六銀行との間でつむぎだされてきた物語は国境を越えても弛まなく積み重ねられ、やがて田代自身がその一部になっていることに気づくのだ。

帰国しても、彼とお客さまの物語はもちろん終わらない。海外進出のサポートに加えて、クロスボーダーローンのご提案や、国内産品の海外販路拡大へと広がったが、お客さまの目的やニーズを共有する田代の姿勢は同じだ。

「海外現地法人の資金調達方法は、親子ローンが主流ですが、返済時には為替リスクが生じます。このリスクを回避する方法として、クロスボーダーローンなどを提案しながら、お客さまと一緒に課題の解決方法を考えていくのが私たちの役割です。また、販路拡大では、飛騨には飛騨牛や匠の技が息づく家具があり、東濃には伝統的な陶磁器産業があります。こうした地元産品の魅力の海外発信に取り組んでいます。地元企業のためにセミナーを開催したり海外の展示会への参加を推進しながら、魅力的な中部ブランドを構築していきたいですね」と田代。

月1回は、必ず全メンバー(海外駐在員はインターネット会議システムで参加)のミーティングを欠かさない海外サポート部のチームワークと、現地を熟知したメンバーたちのノウハウから、お客さまと十六銀行の新しいチャプターが描かれはじめている。
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