住まいのガイドブック2024
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①②9.担保価値の減少〔規定第3条の1第1項、第2項〕10.信用不安〔規定第3条の1第1項〕11.債権保全〔規定第3条の1第1項、第2項、第3条の2、第7条第1項、第3項、第12条第1項〕12.担保の現状変更〔規定第3条の1第2項〕13.第三者のための権利の設定〔規定第3条の1第2項〕14.法定の手続〔規定第3条の1第3項〕15.諸費用〔規定第3条の1第3項〕16.法定の順序〔規定第3条の1第3項〕繰り上げ返済による年2回増額返済部分の未払利息例えば、増額返済月を4か月経過した時点で繰り上げ返済を行う場合、増額返済分の利息は一般に6か月分を後払いする取扱いとなっているため、前回の増額返済以降の4か月分の利息が未払利息となり、ご清算いただく必要が生じます。規定第24条に定める未払利息例えば、借入後一定期間毎回の元利金返済額が一定に保たれるために、適用利率が急激に上昇し毎回の発生利息がそれを越える場合、超過した利息額は未払利息となり、後に繰り延べられることになります。繰り上げ返済を行う場合にこの未払利息があるときには、ご清算いただく必要が生じます。担保物の価値の減少のこと。例えば、不動産や株式等を担保物として差し入れている場合、これらの担保物は、地価や相場の変動等により価格が大きく変動することがあり、その価格が借入残債務を担保するに不足するほど下落し、価格の回復が相当期間見込めないような状態となることもあります。(担保価格が減少した場合、銀行は、状況によって他の担保・保証の追加あるいは担保の変更をお願いすることがあります。)銀行がローンなどの貸出を行う場合、借主の信用状態が健全であることを前提としていますが、貸出後の借主の著しい資産・収入の減少あるいは他の債務の増加等により、借主の返済能力に懸念の生じる場合があります。借主の「信用不安」とは、客観的にみてそのような借主の信用状態に懸念が生じ、返済ができなくなるおそれがある場合をいいます。(借主に「信用不安」が生じた場合には、銀行は借主に対し、「信用不安」を解消するに足りる担保・保証の差し入れ、追加、変更などをお願いすることがあります。)銀行は、貸出した金銭および利息が回収できない事態とならないよう、返済の遅滞等の発生を予防するとともに、万一借主が返済できない事態となった場合にも、貸出金が全額回収できるよう必要な措置を講じる必要があります。この措置を「債権保全」といいます。銀行が貸出を行う場合に土地や建物等の不動産を担保として差し入れてもらうことがあります。この不動産について、担保価値の変動が生じるような変更を「担保の現状変更」といいます。例えば、建物の増改築・取壊しなどや、土地を分割して複数の土地として登記する等の変更を行うことをいいます。特定の法律関係について、これに関与する者(これを「当事者」といいます)以外の者のことを「第三者」といいます。ローン契約の場合には、第三者とは、金銭を貸出した銀行と金銭を借入れた借主以外の者のことです。「第三者のための権利の設定」とは、例えば、この「第三者」のために賃借権、質権、抵当権(後記30.参照)等の権利を設定することをいいます。担保を処分する手続については、担保の種類に応じて各種法律にその定めがあり、その手続を「法定の手続」といいます。ところが「法定の手続」では手続に時間を要することもあり、結果として処分の時期が遅れるなど、より有利に処分できる機会を逃してしまい、借主・銀行双方の利益にならないことがあります。そこで銀行は、ローン契約時に、担保を「法定の手続」によらず借主との合意のうえで任意の方法で売却し、そのなかから残っている債務額(残債務額)および売却にかかった費用等を回収できるようにしています。例えば、担保不動産を処分する場合に、相応な条件で当該物件を購入したいという第三者が現れたときには、法律にもとづく不動産売却手続をとらずに、借主・銀行双方の合意のもとに第三者に任意に売却することにより、借主・銀行双方にとって時間的・経済的負担を軽くすることができます。ここでの「諸費用」とは、担保を取立てたり、処分したりするときに要するもろもろの費用(例えば売却に伴う手数料や諸税があります)のことをいいます。「法定の順序」とは、返済された内容(金額、数量等)が債務全体を消滅させることができないとき、その返済を当事者の間で①債務が複数個ある場合にいずれの債務に充当するか、②元本・利息・費用のいずれに充当するか、について合意していない場合に適用される法律(民法)で決められた充当の順序のことをいいます。この民法に規定する具体的な「法定の順序」は以下のとおりです。①債務が複数個ある場合の充当順序借主が同一の銀行に同種の複数個の債務を負っている場合で、その全部を返済しきれないときは、借主がその返済をどの債務に充てるかを指定します。その指定がない場合は銀行が指定できますが、借主が異議を申し出ると銀行の指定は効力を発しません。その結果、どの債務に充てるかを定めることができなくなることを防ぐため、最終的な充当方法が法律で定められています。具体的には、a.b.返済期限が到来した債務とまだ到来していない債務とでは、返済期限が到来したものを優先すること、ともに期限が到来している複数の債務の場合やともに期限が未到来の複数の債務の場合には、借主に有利な債務(例えば貸出金利の高低、抵当権等物的担保の有無、手形債務か一般債務かどうかなどを基準に判断)を優先すること、が定められています。②元本・利息・費用の充当順序返済期限が到来したものについて返済を行うが、その金額が銀行に対して負担する債務(借入金の元本・利息、担保保全・債権回収費用)全額を返済しきれず、当事者間で充当の順序の定めがない場合、法律では費用、利息、元本の順で充当することを定めています。ローン契約の場合は、前記の法律の規定どおりの弁済の充当方法によると、銀行および借主の双方にとって有利とはならないことがあることから、必ずしもこれによらないことを約定しています。21

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